アクションシーン―――。 バトルシーンーーー。

特にバトルマンガやハリウッド映画には欠かせない要素だろう。


観ているとハラハラドキドキ、非常に楽しいのだが、


自分で1から10まで考えて、殺陣を「創る」となったなら、


まったく話は変わってくるでしょう。



今回は、そんなアクションシーンを作る上での一つの要素『強い』/『弱い』のコントラスト、


いわばキャラクターの「強さ」を表すテクニックをいくつか紹介したい。



「おおっ!!このキャラクター、なんか"強そう"!」

「うわぁ・・・なんかこのキャラは"弱そう"だな・・・・」




この二つの違いはどこから来るのだろうか?


その”違い”を文章でまとめたとしても、ちょっと分かり難いだろうと思ったので、


ざっとワードでまとめてみた。


どどん!!

強そう 弱そう
➀速力(動きの速さ)速い遅い
➁破壊力(力の強さ)破壊する破壊できない
➂表情笑みを浮かべてる辛そう
➃態度(体の緊張)落ち着いてるあせってる

まだまだ改良の余地だらけではあると思うが、

ざっとこんな感じではないだろうか?

補足が必要だと思うので、今回はもっとも分かりやすい作品「ドラゴンボール」

例に挙げながら、説明していきたいと思います。

➀速力ーーーー上記の通り、キャラクターの動きの速さを表す尺度。

『弱い敵は、
    強者の速さについてはこれない――。』

ドラゴンボールはまさにこの表現を多用して、強さを引き立たせている。


ドラゴンボールのフリーザ編を思い出して見てほしい。


ベジータや悟飯を瀕死に追いやったギニュー特戦隊の前に、突如現れた『孫悟空』は、


「我こそが宇宙一速い」と自称するギニュー特戦隊『バータ』を


スピードで圧倒してしまうという描写がある。


その後も隊員たちが、悟空の速すぎる動きを目で捉えきれない様子が描写されていく。


速度の次元が、あきらかに違うことを、キャラクターとの関わり合いの中で、


見事に表現できているのだ。


さらに悟空は、ベジータがフルパワーで闘ったのにも関わらず、


まったく応える様子の無かったリクームを、


なんと、たったの”一撃”で撃ち沈めたのだ。


これは➁『破壊力』の表現に当たる。


つまり対象が、キャラクターの”アタック”(攻撃)によって、


どれだけの”ダメージ”(破壊・損失)を負わされたのか、


その”リアクション”によって強さを表すことができるのだ。


リクームの場合は、対象が”人”だったが、


「場所」「物質」に転用することでも、それを表せる。


すこし時系列は飛ぶが、魔人ブウ編において、


ブウが地球もろとも破壊してしまうといった描写がある。




バカでかい”地球”ですら破壊できる―――これだけで、魔人ブウというキャラクターが


”どれだけ強い”のか、ということを一目で分からされてしまうだろう。


つまり➁破壊力とは言い方を返れば、「放出エネルギーの総量」と、言ったところだろうか?


キャラクターの引き出すパワーが周囲の人物、建物、フィールド、その他もろもろの物質に、


どれだけの破壊(影響)をもたらすのか――――


それによって強さのコントラストを表現することができるのだ。


そして➂、➃表情・体の緊張感。


この二つはまとめてもいいだろう。

タイトルなし


さて、”下手クソ”な絵はさておき、の人物。


いったい、どちらが強そうに見えるだろう?


と答えたあなた。ずいぶん天邪鬼ですね。


たしかに、この画像の情報量だけでは、二人の本当の”強さ”を推し量るには、


かなり情報不足。


名前や家柄、能力や持ち物、二人の関係性―――そういった人物を形成するために必要な、あらゆる要素が、


かなり伏せられていますからね。


ですのでと答えたあなた。


それも『正解』と言えます。


なぜなら既存の作品には、

弱そうな美少女として登場したのに、実は怪力の持ち主だったみたいな

「怪力美少女」や、

いつもはボケっとした少年なのに、新幹線みたいに高速で動ける

「高速移動少年」だとか、

なかには、アンバランスなギャップを魅力とするキャラクターも存在しているのも事実だからです。


しかしながら、そういったバイアスを排除して、純粋に画像を見れば、


フツーはの人物の方が”強そう”に、の人物は”弱そう”に見えるだろう。


の人物の表情にはどこか余裕があり、体にも余計な緊張が入っていないように見える。


逆に、


の人物の表情はこわばっていて、体は怯え震えてるように見える。


さて、二人が闘ったらどっちが勝つだろう?


その勝敗は戦う前から明らかではないだろうか?


こういった、『人物:キャラクター』から醸し出される態度や表情といったものは、


小説の文章であっても、マンガの画でも表せるので、


この内精神の表れを描写に落とし込んでいくだけでも、”強さ”はある程度、表現することができるのはないだろうか?


まとめ

物語とはあくまで存在しない世界を描いていく行為。


『嘘』をひたすら綴っていく行為、と言ってもいいだろう。


つまりそれは、アクションシーンにおいても同じで、


いかに”強そう””弱そう”に見せることができるか、


それが、観る側でなく、創り手側として、


非常に大事になってくる、心構えなのではないでしょうか―――。


意図したように『見せる』技術。


どうだったでしょうか?


完全というには、まだまだ陳腐なメソッドではありますが、


今回上げた4点を意識したり、もしくはこの記事のメソッドを自分なりに改良しながら、


展開と描写を考えれば、少しはあなたの描くキャラクターの”強そう” ”弱そう”に、


説得力が生まれるのではないでしょうか?